Google Analyticsの初期設定:導入から活用への道筋
ウェブサイトの成功は、そのパフォーマンスを正確に把握し、データに基づいた改善を継続することにかかっています。そのための強力なツールがGoogle Analyticsです。本稿では、Google Analyticsの初期設定に焦点を当て、導入から基本的な活用方法までを解説します。ウェブサイトの成長に不可欠な第一歩となるこの設定プロセスを、丁寧に紐解いていきましょう。
1. Google Analyticsアカウントの作成とプロパティの設定
Google Analyticsを使い始めるためには、まずGoogleアカウントが必要となります。もしお持ちでない場合は、Googleのウェブサイトで無料のGoogleアカウントを作成してください。Googleアカウントがあれば、Google Analyticsのサービスにアクセスし、アカウント作成に進むことができます。
1.1. アカウントの作成
Google Analyticsのウェブサイトにアクセスし、「無料で利用開始」ボタンをクリックします。画面の指示に従って、アカウント名を入力します。アカウント名は、組織名やウェブサイト全体を管理するための名称として使用されます。例えば、「株式会社〇〇」や「自社サービス群」などが考えられます。
1.2. プロパティの設定
アカウント作成後、次に「プロパティ」を作成します。プロパティは、Google Analyticsで測定したいウェブサイトまたはアプリを表します。ウェブサイトの場合、プロパティ名(例:「〇〇コーポレートサイト」、「△△ECサイト」)と、レポートのタイムゾーン、通貨を設定します。これらは、後々レポートの表示形式に影響するため、正確に設定することが重要です。
2. データストリームの設定とトラッキングコードの取得
プロパティの設定が完了したら、次に「データストリーム」を設定します。データストリームは、ウェブサイトからGoogle Analyticsへデータを送信するための設定です。ウェブサイトを測定する場合、「ウェブ」を選択し、ウェブサイトのURLとストリーム名(例:「〇〇コーポレートサイト」)を入力します。
2.1. グローバルサイトタグ(gtag.js)の取得
データストリームを作成すると、「グローバルサイトタグ(gtag.js)」と呼ばれるコードスニペットが生成されます。これが、ウェブサイトに訪問者の行動を記録させるための「トラッキングコード」となります。このコードをウェブサイトのHTMLの<head>セクションに貼り付けることで、Google Analyticsがデータを収集できるようになります。
注意点:gtag.jsは、Google Tag Manager(GTM)を使用する場合にも利用されます。GTMは、複数のタグ管理を効率化するツールであり、より高度な設定を検討する際に役立ちます。初期設定では、直接gtag.jsを埋め込む方法と、GTM経由で設定する方法のどちらかを選択することになります。どちらの方法を選択するにしても、コードの正確な配置が重要です。
2.2. トラッキングコードの設置場所
gtag.jsコードは、ウェブサイトのすべてのページに共通して配置する必要があります。一般的には、ヘッダーテンプレートや共通のHTMLファイルに記述することで、全ページに適用されます。ウェブサイトの構築方法(CMS、静的HTMLなど)によって、設置方法は異なります。もしご自身で設置が難しい場合は、ウェブサイトの制作担当者や開発者に相談してください。
3. ユーザー権限の設定
Google Analyticsには、複数のユーザーがアクセスしてデータを閲覧・分析できるように、権限設定機能が備わっています。初期段階では、自身が管理者権限を持つことになりますが、チームメンバーや関係者にもアクセス権を付与する場合があります。
3.1. 権限の種類
Google Analyticsの権限には、主に以下の種類があります。
- 管理者:アカウント、プロパティ、ビューのすべての設定を変更できます。
- 編集者:プロパティやビューの設定を変更できます。
- 閲覧者:レポートの閲覧やデータの分析のみ可能です。設定の変更はできません。
- アナリスト:レポートの閲覧、分析、およびレポートの共有が可能です。
3.2. 権限の付与方法
アカウント設定画面から、「アカウントのアクセス管理」や「プロパティのアクセス管理」に進み、メールアドレスを入力して権限レベルを選択することで、新しいユーザーに権限を付与できます。
4. 目標設定:サイトの成果を定義する
Google Analyticsの真価は、単なるアクセス数の計測にとどまらず、ウェブサイトの目的に沿った成果(コンバージョン)を計測できる点にあります。初期設定段階で、ウェブサイトの目標となるアクションを定義し、それを「目標」として設定することが重要です。
4.1. 目標となるアクションの例
ウェブサイトの目的によって、目標となるアクションは異なります。一般的な例としては、以下のようなものが挙げられます。
- お問い合わせフォームの送信:顧客からの問い合わせ獲得
- 資料請求:リード獲得
- 商品購入:ECサイトでの売上
- メルマガ登録:顧客リストの拡充
- 特定ページの閲覧:興味関心の高いユーザーの特定
4.2. 目標設定の方法
Google Analyticsの管理画面から、「目標」設定に進みます。「新しい目標」を作成し、目標の種類(例:宛先、滞在時間、ページ/スクリーンあたりのセッション数、イベント)と、具体的な条件を設定します。例えば、お問い合わせフォームの送信を目標にする場合、「宛先」を選択し、お問い合わせ完了ページのURLを「宛先」に設定します。
5. フィルタの設定:不要なデータを排除する
ウェブサイトの分析を行う上で、社内からのアクセスやクローラーによるアクセスなど、分析に不要なデータを排除するための「フィルタ」設定は欠かせません。これにより、より正確なユーザー行動データを把握することができます。
5.1. フィルタの種類と設定
代表的なフィルタとしては、以下のようなものがあります。
- 除外フィルタ:特定のIPアドレスからのアクセスを除外する。社内ネットワークのIPアドレスなどを指定します。
- 包含フィルタ:特定の条件に合致するアクセスのみを計測する。
- 小文字化・大文字化:URLなどの表記揺れを統一する。
フィルタは、プロパティまたはビュー(以前のバージョン)レベルで設定できます。設定を誤ると、本来計測したいデータまで除外してしまう可能性があるため、慎重に設定し、テストを行うことが推奨されます。
6. 外部ツールの連携:Google Search Consoleなど
Google Analyticsは、Google Search Consoleなどの他のGoogleサービスと連携することで、さらに強力な分析ツールとなります。Search Consoleと連携することで、検索エンジンからの流入キーワードや検索順位といった、SEO(検索エンジン最適化)に関する貴重な情報をGoogle Analytics上で確認できるようになります。
6.1. Google Search Consoleとの連携
Google Analyticsのプロパティ設定画面から、「プロダクトのリンク」→「Search Console」を選択し、連携設定を行います。これにより、Search ConsoleのデータがGoogle Analyticsのレポートに表示されるようになります。
まとめ
Google Analyticsの初期設定は、ウェブサイトのパフォーマンスを正確に把握し、データに基づいた意思決定を行うための基盤となります。アカウント作成からプロパティ・データストリームの設定、トラッキングコードの設置、目標設定、フィルタ設定、そして外部ツールとの連携まで、これらのステップを丁寧に進めることで、ウェブサイトの成長に不可欠な分析環境を構築できます。初期設定でしっかりと基盤を整えることが、Google Analyticsを最大限に活用するための第一歩となるでしょう。

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