Webサイトにおける景品表示法と薬機法の注意点
Webサイトを運営する上で、景品表示法と薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)は、避けて通れない重要な法律です。これらの法律に違反すると、行政指導や課徴金納付命令、さらには刑事罰の対象となる可能性もあり、企業の信頼失墜に繋がることも少なくありません。本稿では、Webサイト運営者、特に広告担当者やマーケティング担当者が留意すべき点について、景品表示法と薬機法の両面から解説します。
景品表示法:不当な広告表示の禁止
景品表示法は、消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある不当な表示を規制する法律です。Webサイトにおける不当表示は、主に「優良誤認表示」と「有利誤認表示」の二つに大別されます。
優良誤認表示
優良誤認表示とは、実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認される表示を指します。例えば、以下のようなケースが該当します。
- 品質に関する表示:実際よりも高い品質であるかのように表示する。例:「最高級の素材を使用」「100%オーガニック」など、根拠のない表示。
- 性能に関する表示:実際よりも優れた性能を発揮するかのように表示する。例:「驚異的な効果」「〇〇%の人が実感」など、科学的根拠や客観的なデータに基づかない表示。
- 価格に関する表示:一時的な値下げや、比較対象がないのに「〇〇%OFF」「当店最安値」などと表示する。過去の価格が不当に高い設定であったり、実際には値下げされていなかったりする場合。
- その他の内容に関する表示:商品やサービスの内容について、実際よりも有利であるかのように表示する。例:「在庫限り」「限定品」など、実態を伴わない限定性を強調する表示。
これらの表示を行う場合は、客観的な根拠を明確に示せるようにしておく必要があります。もし「〇〇%の人が実感」と表示するのであれば、その調査方法や対象者、期間などを明記し、信頼できる第三者機関による調査結果など、確かな裏付けを用意しておくことが不可欠です。
有利誤認表示
有利誤認表示とは、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示を指します。こちらも具体的な例を挙げます。
- 価格や取引条件に関する表示:競合他社と比較して、実際よりも著しく有利であるかのように表示する。例:「他店より〇〇円安い」「今だけ特別価格」など、不当な比較や限定性を強調する表示。
- 景品類の提供に関する表示:景品類(商品・サービス以外のもの)の価格や内容について、実際よりも有利であるかのように表示する。
特に、「送料無料」といった表示は、実際には商品価格に送料が上乗せされている場合や、一定金額以上の購入で無料になる条件があるにも関わらず、その条件が明記されていない場合に有利誤認表示となる可能性があります。「〇〇円以上で送料無料」のように、明確な条件を記載することが重要です。
表示規制のポイント
- 客観性・証拠主義:表示内容については、常に客観的な証拠を準備しておくことが重要です。
- 一般消費者の視点:表示は、専門家ではなく一般消費者がどのように受け取るかを基準に判断されます。
- 比較広告の注意点:比較広告を行う場合は、比較対象を明確にし、価格や品質などに虚偽がないか確認が必要です。
- 強調表示の裏付け:最上級表現や断定的な表現を用いる場合は、その根拠を明確に示せるようにしましょう。
薬機法:医薬品・医療機器等に関する広告規制
薬機法は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などについて、その品質、有効性、安全性、及びこれらの製品に関する広告その他の事項を定め、国民の健康な生活の確保を目的とする法律です。Webサイトにおいて、これらの製品に関する広告を行う場合は、特に注意が必要です。
効能・効果の範囲
薬機法では、承認・許可された効能・効果の範囲を超えた表示は禁止されています。例えば、化粧品で「シミが消える」「ニキビが治る」といった表示は、医薬品と誤認される可能性があり、薬機法違反となります。化粧品に認められている効能・効果は、「皮膚の清浄」「保湿」「日焼けによる、しみ・そばかすを防ぐ」といった、あくまで美容を目的としたものです。
また、「痩せる」「病気が治る」「老化を防ぐ」といった表現も、医薬品的な効能・効果を標榜しているとみなされ、違反となる可能性が高いです。
未承認医薬品等の広告
日本で承認・許可されていない医薬品や医療機器について、あたかも承認・許可されているかのように広告することは、薬機法で厳しく禁止されています。海外の製品であっても、日本国内での販売や広告には、国内の規制をクリアする必要があります。
承認・許可の表示
医薬品や医療機器には、承認番号や許可番号が表示されています。これらの番号を広告に記載することは、消費者に安心感を与える一方で、実際には承認・許可されていない製品に架空の番号を記載したり、誤った番号を記載したりすると、重大な違反となります。
品質・安全性に関する虚偽・誇大広告
医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器等について、品質や安全性に関する虚偽・誇大な広告も禁止されています。例えば、「副作用は一切ありません」「絶対に安全です」といった断定的な表現は、科学的根拠が乏しく、誇大広告とみなされる可能性があります。
また、「〇〇博士推奨」「○○学会公認」といった、根拠のない推薦や認定を広告に用いることも、消費者に誤解を与える可能性があるため注意が必要です。
表現の注意点
- 断定的な表現の回避:科学的根拠に基づかない断定的な表現(「絶対に」「必ず」「完全に」など)は避ける。
- 医療機器と紛らわしい表現:健康器具など、医療機器ではないものを、あたかも医療機器であるかのように表示しない。
- 消費者の誤認を招く表現:一般消費者が医薬品や医療機器であると誤認するような表現は避ける。
- 定期購入に関する注意喚起:定期購入を勧める広告では、解約条件や最低購入回数などを明確に表示する必要がある。
まとめ
Webサイトにおける景品表示法および薬機法の遵守は、単に法律を守るだけでなく、消費者からの信頼を得て、長期的なビジネスを継続していくための基盤となります。広告表示を行う際には、常に「一般消費者の視点」に立ち、「客観的な根拠」に基づいた、「誤解を招かない正確な情報」を提供するという意識を持つことが重要です。迷った際には、弁護士や専門家、あるいは各省庁の相談窓口に相談することをお勧めします。事前の確認と、表示内容の見直しを怠らないようにしましょう。

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