Amazonビジネス(Amazon Business)は、Amazonが提供する法人および個人事業主専用のEコマースプラットフォームです。
Amazonビジネス
個人向けのAmazon.co.jpが持つ「圧倒的な品揃え」「迅速な配送」「使いやすいインターフェース」といった利便性はそのままに、法人・組織特有のニーズに応えるための「請求書払い(掛け売り)」「購買管理(承認フロー)」「インボイス制度への対応」「法人価格」といった専門機能を追加したサービスです。
大企業から中小企業、学校法人、官公庁、NPO、そしてフリーランスの個人事業主まで、あらゆる事業者が登録無料で利用を開始できます。
ここでは、Amazonビジネスの機能、メリット、料金体系、そして有料プランである「Businessプライム」について解説します。
1. 対象者と登録
- 対象者:
- 法人(株式会社、合同会社、有限会社など)
- 個人事業主(フリーランス、自営業)
- 学校法人、医療法人、社会福祉法人
- 官公庁、地方自治体、非営利団体
- 登録料・年会費:
- Amazonビジネスのアカウント作成・維持に関する費用は一切無料です。
- 登録には、法人の場合は法人番号、個人事業主の場合は事業内容の確認(または確定申告書などの書類提出)が求められる場合があります。
2. 個人向けAmazonとの決定的な違い(主なメリット)
Amazonビジネスは、単に「仕事用に分けたアカウント」ではなく、経理・購買業務を劇的に効率化する機能が多数搭載されています。
① 経理・会計処理の効率化
- 請求書払い(掛け売り)に対応: これが最大のメリットです。注文ごとの都度決済(クレジットカード払い)だけでなく、月末締め・翌月末払いなどの「請求書払い」を選択できます。
- これにより、日本の企業の商慣習に合わせたキャッシュフロー管理が可能になります。
- 請求書はAmazonから一括で発行されるため、多数の取引先と個別にやり取りする必要がなくなります。
- ※利用にはAmazonによる与信審査があり、承認されると利用限度額が設定されます。
- 適格請求書(インボイス)への完全対応: 2023年10月から開始されたインボイス制度に対応しています。
- 適格請求書発行事業者(インボイス事業者)が販売する商品のみを絞り込んで検索・購入できます。
- 購入した商品の適格請求書(または仕入明細書)は、注文履歴から一括でダウンロード可能です。これにより、経理担当者がインボイス番号を確認する手間が大幅に削減されます。
- 税抜き価格の併記: 常に「税抜価格」と「税込価格」が併記されるため、経費計算が容易です。
- 見積書(PDF)の即時発行: 社内稟議や予算申請に必要な「見積書」を、カート画面からいつでも即時にPDFで発行できます。
② 購買管理機能(マルチユーザー対応)
- 複数ユーザーのアカウント管理: 1つの法人アカウント(親アカウント)に、従業員ごとの個別アカウント(子アカウント)を無料で複数紐付けることができます。
- 権限設定: ユーザーごとに「一般購買者」「承認者(上長)」などの権限を設定できます。
- 承認フロー(ワークフロー)の設定: 「1回の注文が5万円を超えたら、承認者の承認が必要」といったルールを自由に設定できます。これにより、従業員による不要な購入や予算超過を防ぎ、企業の購買ガバナンスを強化できます。
- グループ管理: 「営業部」「開発部」など、部署ごとにグループを作成し、グループ単位での予算管理や権限設定が可能です。
③ 価格と品揃え
- 法人価格・数量割引: 一部の商品は、個人向け価格よりも安価な「法人価格」が設定されています。
- また、同一商品を大量に購入する際に自動的に適用される「数量割引」も用意されており、オフィス用品や消耗品のまとめ買いに適しています。
- ビジネス向け商品の拡充: 個人向けには表示されにくい、専門的な工具、研究用品、医療・介護用品、IT機器、大容量のオフィス消耗品など、B2B(法人向け)商品が豊富に揃っています。
④ 高度な分析機能
- 購買レポートのダウンロード: 「誰が」「いつ」「何を」「いくら」購入したかのデータをCSVなどで詳細にダウンロードできます。
- これにより、部署ごとの経費分析やコスト削減の検討が容易になります。
3. Businessプライム(有料会員プラン)
Amazonビジネスには、個人向けの「Amazonプライム」とは別に、法人向けの有料会員プログラム「Businessプライム」が用意されています。
これは、Amazonビジネスの基本機能(無料)をさらに強化し、配送の迅速化やより高度な購買管理を実現するサービスです。
Businessプライムの主な特典
- お急ぎ便・日時指定便が無料: 対象商品であれば、追加料金なしで迅速な配送オプションを何度でも利用できます。(個人向けプライムとほぼ同等の配送特典です)
- 購買コントロール機能: 企業の購買ポリシー(コンプライアンス)を徹底させる機能です。
- 推奨商品の設定: 会社が推奨する商品(例:特定のPC、環境に配慮した消耗品など)に「推奨」バッジを付け、従業員に優先的に表示させることができます。
- 購入制限: 逆に、会社が購入を許可しない商品カテゴリ(例:アルコール、ビデオゲームなど)を制限(ブロック)することができます。
- 高度な購買分析(Amazon Business Analytics): より視覚的で詳細な購買分析ダッシュボード(Spend Visibility)が提供され、コスト削減の機会を特定しやすくなります。
Businessプライムの料金プラン
料金は、そのアカウントに紐づくユーザー数に応じて変動する年額プランです。
※(2025年10月現在の情報。料金は変更される可能性があります)
【重要】Businessプライム Duoとは?
Businessプライム Duoは、個人事業主や小規模(1人)の事業者にとって非常に強力なプランです。
- 対象: Amazonビジネスのユーザーが1人のみ。
- 条件: そのAmazonビジネスアカウントに紐づいている本人が、**個人で「Amazonプライム会員」**であること。
- 料金: 上記の条件を満たしていれば、**追加料金なし(無料)**でBusinessプライムの特典(お急ぎ便無料など)をビジネスアカウントでも享受できます。
個人事業主の方で、すでに個人のプライム会員になっている場合は、Amazonビジネスに登録しDuoを有効化するだけで、仕事用の買い物でも配送料無料の恩恵を受けられます。
4. 注意点(個人向けプライムとの違い)
- アカウントは完全に別物: 個人向けAmazonアカウントとAmazonビジネスアカウントは、メールアドレスが同じでも(または別々でも)、内部的には完全に分離されます。
- エンタメ特典は利用不可: Amazonビジネスアカウントでは、個人向けプライム会員の特典であるPrime Video(動画)、Prime Music(音楽)、Prime Reading(読書)などは一切利用できません。
- これらを利用したい場合は、個人のアカウントに切り替える必要があります。
- Businessプライムはあくまで「購買支援」: Businessプライムの特典は、あくまで「配送の迅速化」や「購買管理機能の強化」であり、エンターテイメントは含まれません。
5. どのような事業者におすすめか?
Amazonビジネスは、以下のような課題を持つすべての事業者におすすめです。
- 経理担当者・経営者: 「請求書払いでキャッシュフローを改善したい」「インボイス対応の手間をゼロにしたい」「経費の立て替え精算をなくしたい」
- 購買管理・総務担当者: 「複数の部署や拠点の備品購入を一元管理したい」「無駄な購入を承認フローで防ぎたい」「購買データを分析してコストカットしたい」
- 個人事業主(フリーランス): 「仕事用の支出とプライベートの支出を明確に分けたい」「Businessプライム Duoで配送料を節約したい」「見積書や請求書を簡単に入手したい」
Amazonビジネスは、単なる「仕事用の買い物サイト」ではなく、企業の購買プロセス全体をデジタル化し、バックオフィス業務を大幅に効率化する「購買管理ソリューション」と言えます。

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